地に足が付いたものであるかどうか

堅実に着々と足元を見つめて、柔軟に広めて行くことが大事とはよく言われることと思いますが、改めて、その大事さを感じます。
物事は「ゆく河の流れは絶えずして しかも もとの水にあらず」で、常に新しい水と入れ替わっていきます。

 

ゆく河の流れは絶えずして しかも もとの水にあらず
よどみに浮かぶうたかたは かつ消え かつ結びて 久しくとどまりたるためしなし
世の中にある人とすみかと また かくのごとし

上記は鎌倉時代、鴨長明によって書かれた随筆『方丈記』の中の一節として、非常に有名で知られていますね。

現代語訳にした意味は、下記のようなものです。

流れていく川の流れは絶えることがなくて、それでいて、(その水は刻々移り)もとの水ではない。
流れの淀んでいるところに浮かぶ水の泡は、一方で消えたかと思うと、一方ではまたできて、いつまでもそのままの状態で存在していることはない。
このように生まれてきている人と住まいも、また、同じようなものである。

 

この移り変わりは切なさも感じさせますが、すでに鎌倉時代から言われていたことに限らず、極めて予測困難なVUCA(ブーカ)の時代と言われる現代においては、何倍にも早くなっていると思います。

 

VUCA(ブーカ)の時代とは

 

2016年のダボス会議で「VUCAワールド」という言葉が使われて、今はVUCAの時代だということが世界的な共通認識となったとそうですね。

VUCAとは…

「Volatlity(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取った言葉です。

VUCA時代は、以下に示すように未知の領域が多く含まれるため、柔軟性と適応力を持ちながら、新たな価値観やスキルを磨いていくことが求められます。

 

    1. Volatility(変動性): 環境が急速に変化すること。
      経済やビジネス・個人のキャリア・コミュニケーションの仕方に至るまで、社会構造や価値観を始めとした多くのものがドラスティックに変化をしていき、将来の予測が困難な状態を示します。
    2. Uncertainty(不確実性): 予測が難しいこと。
      かつての年功序列や終身雇用制は過去の遺物のようになり、能力主義・成果主義がスタンダードとなってきています。
      同時に、新型コロナウイルスの世界的な流行や気候変動・台風や大地震など、予測困難な事象が続けざまに発生している状況です。
    3. Complexity(複雑性): 状況が複雑であること。
      産業界の概念を覆す画期的なサービスが生まれたりグローバル化することによって、他国の影響が日本にも及ぼされやすくなっています。
      人間関係においても、既存の常識が非常識になっているなど価値観の多様性が出てきています。
    4. Ambiguity(曖昧性): 情報が不明確であること。
      企業資産の負債化や従業員の流動性の高まりなど、今までの対策・思考ではカバー出来ない問題が露出して、インターネットやSNSの発展とともに打開策も、決して1つではないことが明白になっています。

 

○ VUCA時代を乗り越える3つの要素

 

上記だけを見ていると、もしかしたら、途方に暮れそうに感じてしまう方もおられるかもしれません。

ですが、どのような時代だろうと、今を楽しめるように生きていけていた人は、いつの時代でも存在していたのではないでしょうか?

では、いつの時代でも楽しんで味わって生きていくには、どのようにしていったら良いのか探すことから始まると思います。

まず、極めて予測困難なVUCA(ブーカ)の時代、主には、以下が求められていると言われています。

 

  1. 変化の起点であるテクノロジーの理解と情報収集力: 
    今の状況が自社の業界やキャリアにどう影響するかをキャッチアップすることから、もし、危機を感じたら先手を考えて自らの身の振り方を考えることが出来ますね。
    外の世界にある在り方やスキルを学ぶ姿勢を持って、新たな自己成長の習慣を自発的に創っていくことで、時代の流れに柔軟に対応していける可能性が高まります。
  2. 自ら主体的に思考して行動する力:
    AIとの共存社会が近づいている中で、人間にしかできない「考える力」にフォーカスして高めていくことが重要ですね。
    過去にない状況への対応力や意思決定力、伸び伸びとしたクリエイティブなセンスも武器になります。
    さらに転職や複業力を磨いていく上で、強みとなるのが「ポータブルスキル」です。
    特定の業種や職種、時代背景にとらわれない汎用性・普遍性の高いスキルを身に付けることが優位性を創り出します。
  3. フラットに俯瞰する在り方:
    物事を客観的に捉えられる在り方が、従来以上に求められています。
    先入観や固定観念などのバイアスの取り扱い方を踏まえつつ、フラットな視点から最適解に近づくための意見を述べられる人は重宝されます。
    多様な価値観を知るための真摯な傾聴力を育てることで、慣習などに紛れている問題に気付いて課題を発見できる可能性が高まります。

 

○ 次の「今ここ」は?

 

VUCAに限らず、いま、目の前に見えている光景、その耳に聞こえているエコーが全てではないですね。

「現状維持は停滞」という言葉は多くの方が知るところですが、まずは「仮説・試してみる・検証」が大事です^^

そのためにタスクの優先順序を組み立て直すこともありますし、戦略や戦術を変えることだってあります。

 

そこで何も完成形の100点満点を求めなくても、「まずは、これで進めてみる」マインドも大切だと思います。

(私は、ある程度のハイクオリティで人間味もある基準は必要と考えますので、70点ぐらいにはしてからスタートします。)

そもそも完璧志向、それ自体が自己満足でワガママなのではないかとすら、私は思ってしまいます。

自分が求めるものの前に、人が求めるものに応えようとする姿勢であれば、完璧主義に陥っているヒマはありません。

 

大切なのは「今ここ」を見据えること。「近い未来」は、その「今ここ」の連続です。

「近い未来のプラス」と「その先の未来のプラス」を、視覚的にも身体的にも動かしながら実感し続けること。

つまり、頭だけで考えずに、身体全体で感じて、本当のところではどうしたいかを見出していく。

じつは身体には脳以上に叡智が秘められているとも言われ、散歩したり運動をしたり入浴したりなど、身体を動かしながら考えたほうが頭で思っていただけのものとは違う閃き(アイデア)などのインスピレーションが湧きやすいのも、そのためです。

または身体をさほど動かさなくても、横になってリラックスしているだけで想像力が働きやすくなったりする人もおられます。

そのように体感覚も得ながら考えた上で、現在進行形で今を進めながらも、すでに次のステージに向けてネクストプランも策定して行くことにありますね👍

 

○ どこから観ている?

 

次のステージに向かうために視野を広く持とうとする以前に、"自分の視座がどこにあるかということは、とても重要"です。

「視野」とは見える・感じ取れる範囲を指しますが、「視座」とは「視点の座するところ」とも書くように、物事を認識したり認知する際の立ち位置・場所を指します。

視野と視座は似ているようで違っていて、視座は「階層」とも言えるかもしれませんし、また同時に存在するものですね。

視野と視座の階層を表す円の図

 

人には私にも過去の経験から、どうしても無意識レベルからの「心のクセ」というものがあります。

こう書くと「偏見や固定観念・先入観」などを連想しやすく、良くない側面ばかりを思いがちです。

同時に「心のクセ」が捉え方や考え方・価値観を創っており、その人の人間らしさや親しみやすさ、社会にとっての価値ある行動に結びついているのでしたら、実に良い側面もあるということになります。

このように一面ばかりを観ていたら良くないものと感じたり、問題と感じてしまうこともあるでしょう。

 

問題と感じるからこそ、問題になってしまうとも言えますが、アルベルト・アインシュタインは、「いかなる問題も、それが発生したのと同じ次元で解決することはできない」と述べていたそうです。

つまり、いまの考えが、いまの問題を発生させているため、その思考のままでは解決できず、別の思考を取り入れる重要性を示唆しています。

視点や捉え方などを変えていくことで、問題の本質を見極めて物事を改善したり、新しい価値を生み出していく元となってきます。

よく物事を多角的に観る際に「鳥の目・虫の目・魚の目・コウモリの目で」とも言われます。

 

「鳥の目」は…

鳥は高いところから遠くを俯瞰することが得意で、どこに何があるのかを瞬時に把握しますね。

全体を俯瞰して把握しながら、どこに進めば良いのか、どこに進んではいけないかを判断していく際に役立ちます。

また、上空から眺めることで、最短で進んでいける方向を見つけられたり、点と点を繋いで一本の線にすることにも活用できます。

 

高い上空を飛ぶ鳥を、海辺から眺めている子どもの写真

 

「虫の目」は…

虫は微細なものを捉える能力に秀でています。

つまり、物事を細分化して、深く観ていくことを表します。

深く観ていくということは、物事は複数の側面から成り立っているため、それらを分解してつぶさに観ていくことから始まるからです。

クリエィティブをする際、「神は細部に宿る」とも言われ、その細部のチガイが心を惹かせるチガイにも繋がったりしますね。

 

ひまわりの蜜をとるミツバチの写真

 

「魚の目」は…

魚は水中に特化しています。深く潜っていけますね。

ここで言う魚の目とは、「過去・現在・未来の物事の流れ、タイムラインを視る心の目」を表します。

いま目の前に起こっていることが全てではないのはもちろん、過去に起こったことは変えられないとはしても、それもこれからの全てではありません。

今ここから、どのような一瞬先を創り出すかは、自らの選択によるものとなっています。

 

深い海を泳いでいる魚の群れと、その上に青白く見える光の水中写真

 

「コウモリの目」は…

逆さまにぶら下がって、物事を通常とは逆の視点から観ていく際のことを表しています。

例えば、心理カウンセリングで座っている椅子(立場)を交代して行なうチェアワークなどでもそうですが、一時的にでも相手の視点や感じ方に近づいてみようとすることで、何か気が付けるものがないかと感じ取っていこうとする姿勢です。

逆さまにぶら下がっている、可愛いコウモリの写真

 

これらも使いながら、自らの視座は、どこにあるでしょうか?

  • 他者のためと言いながら、自分の願望や欲を叶えたいだけなのか?
  • 半径3メートルの人の幸せを、本気で考えて行動するのか?
  • はたまた、もっと大きな範囲で影響を及ぼすために考え行動しづつけるのか?
  • そのために既存の価値観だけでなく、新しい価値観を知り理解して、ワンネスを感じながら追い求めて行くのか?

 

○ さまざまな足元がある

 

これら、いずれも地に足の付いた現実を見据えたものとして、現実に通じ続けるものであることが欠かせないと私は感じています。

 

地に付けた足の状況も、ときによって様々あるでしょう。

雨降りの中の足元もあれば、水の中に入ってしまった足元

歩いている時・走っている時の足元、爽快な青空の下の足元

そうかと思えば、線路のレールの上を歩くような…おぼつかない足元

誰かが捨てたガムを踏んでしまって、へばりついてしまっている足元

ふわふわ宙に浮かんでいるかのような足元などなど…

 

これらもまた移り変わりますし、どこを歩くかにもよるところですが、あなたが、いつだって、爽快な空の元、安心して安全な地面の上を歩けますように…

 

 

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