心理カウンセリングの基本姿勢の一つに、
「本人の課題は本人に返す」
… という考え方があります。
「本人の課題は本人に返す」という考え方は、主にパーソン・センタード・アプローチ(Person-Centered Approach)に基づくものです。
このアプローチは、カール・ロジャーズ(Carl Rogers)によって提唱されました。
ロジャーズはカウンセリングの中で、クライアントが自分自身の問題解決に責任を持つことが重要だと考えました。
カウンセラーはクライアントを受け入れ、共感的に関わるものの、問題解決の主体はあくまでクライアント自身であるべきだという立場です。
この考え方が「課題は本人に返す」ことに繋がります。
このアプローチは、クライアントが自分の感情や経験に対して責任を持ち、自らの力で問題を解決していくことをサポートするものです。
また、この「本人の課題は本人に返す」という考え方はアドラー心理学にも強く関連しています。
アドラー(アルフレッド・アドラー)の心理学では、個人が自分の人生における責任を取ることが重要視されています。
アドラーは、人間が他者との関係の中で自己を形成し、課題をどう捉えて行動するかに焦点を当てました。
アドラー心理学の中で特に有名なのが、「課題の分離」という概念です。
アドラーによる「課題の分離」とは…
- 他人の課題と自分の課題を区別し、他人の問題に過度に関わりすぎないこと。
- 他人が、自分の課題を解決するのを助けすぎないことを意味します。
つまり、クライアントが直面している課題はその人自身のものであり、他者(カウンセラー)が解決してあげるべきではなく、クライアント自身が責任を持って取り組むべきだという立場です。
- 誤った関わり:「かわいそうだから、代わりに解決してあげよう」
- 適切な関わり:「あなた自身の力で解決できるように支える」
私たちは、他人の課題を代わりに消化することはできません。
なぜなら…
胃腸が別であるように、心もまた別である
…からです。
他者の心に寄り添うプロセスは持てたとしても、そのまま「背負うこと」は不可能なのです。
ここで話し手の気持ちを「知りたい」と強く思いすぎると、以下のような反応が生じることがあります:
-
自分の経験と重ね合わせてしまい、自分語りに走る
自分の経験を重ね合わせてしまうことで、相手の気持ちや状況に共感するのではなく、自分の過去の出来事を話し始めてしまいます。
これが過剰になると、相手の話を遮ったり、話題がずれてしまうことがあります。
もはや、傾聴ですらありませんね。 -
本来の相手の話ではなく、”自分の話”になってしまう
相手の話を聴くというよりも、自分の体験や感情を強調してしまう結果、相手の本当の意図や感情に向き合うことができなくなります。
これにより、会話が一方通行になり、相手が十分に自己表現できなくなる可能性があります。 -
自分語りに走らない場合:相手に寄り添う態度を保つ
ただし、「話し手の気持ちを知りたい」という強い気持ちがあっても、それを過度に意識しすぎなければ、自分語りに走ることはありません。
この場合、以下のことが大切です:- 積極的に聴く:自分の経験や考えを抑えて、相手の話に集中し、理解しようとする姿勢を保つ。
- オープンな質問をする:相手が自分の気持ちをもっと話せるように、興味を示しつつも相手のペースに合わせて質問を投げかける。
- 自己主張を控えめにする:自分の経験を共有したい気持ちがあっても、相手の話が優先されるべきだという認識を持ち、適切なタイミングで自分の話をする。
つまり、「相手の気持ちを知りたい」という気持ちが強すぎると、自分語りに走りがちですが、自己の話を控えめにし、相手に焦点を当てることで、自分語りに走らずに、次第に深い共感を示すことができる入り口に向けていきます。
- 話し手の気持ちを「知りたい」と強く思いすぎると?
- 「自分の経験と重ね合わせてしまい、自分語りに走る」
- 「本来の相手の話ではなく、”自分の話”になってしまう」
この場合、傾聴ではなく「自己承認のための会話」になってしまいます。
自己承認と自己受容の違いも重要です。
- 自己承認 … 都合の悪い部分に目をつぶり、都合よく解釈する(偽の承認)
- 自己受容 … 都合の悪い部分も含めて認め、受け止める(真の受容)
支援者マインドが薄れ、当事者マインドに偏るほど、相手への配慮が欠け、生きづらさにつながることもあります。
だからこそ、自分自身の傾聴スキルを深めることが大切なのです。

ネイティブ・アメリカンの有名な言葉からー
「あなたが生まれたとき、周りの人は笑って、あなたは泣いていたでしょう。だから、あなたが死ぬときは、あなたが笑って、周りの人が泣くような人生をおくりなさい」
少しでも、このように生きたいね^^
~ 親愛なる娘へ
きみが生まれてきてくれた時のこと、思い出さない日は本当にないよ。
涙が出て止まらなかった、あの時…。
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