知覚の「自動化」を避けるための「異化」(いか)

先日、自動思考というものに触れる意味で、『つい…歪めて思い込むって何だろう?』というタイトルで綴ってみました。

この自動化を避けるための表現として「異化」(いか)というものがあります。

「異化」(いか)とは、異なる・化けるとありますが、何なのでしょうか?

これはカウンセリング視点というより、クリエイティブ、表現者としての視点です。

 

○「異化」(いか)

 

例により、ウィキペディアで「異化」とは、どのように述べられているか観てみました。

まず、下記のように書かれていますので、抜粋して以下に引用します。

異化(いか)は、慣れ親しんだ日常的な事物を奇異で非日常的なものとして表現するための手法。

知覚の「自動化」を避けるためのものである。

(引用以上)

続けて、異化の概要として、次のように始められています。

(抜粋して、以下に引用)

異化とは、日常的言語と詩的言語を区別し、(自動化状態にある)事物を「再認」するのではなく、「直視」することで「生の感覚」をとりもどす芸術の一手法だと要約できる。

つまり、しばしば例に引かれるように「石ころを石ころらしくする」ためである。

(引用以上)

つまり、自動思考で認知の歪みのまま、再び感じさせる(ナナメに誤認させ続ける)のではなく、「生の感覚」を取り戻すために直視するための表現手法かと、私は思いました。

次に、このようにも書かれています。

(抜粋して、以下に引用)

いわば思考の節約を旨とする、理解のしやすさ、平易さが前提となった日常的言語とは異なり、芸術に求められる詩的言語は、その知覚を困難にし、認識の過程を長引かせることを第一義とする。

(引用以上)

ここで言われている「その知覚」とは自動思考による知覚を指しているのだと思います。

つまり、自動思考で導き出される認知の歪みを困難にして、歪みに至るまでを長引かせるということと読み取りました。

どういうことかと言いますと、歪んだ認知に流されにくくしつつ、自分の捉え方が歪んでいるということを感じさせていくまで、ということです。

それを直接的な事実・物事で感じさせるのではなく、詩的な言語で感じさせていくということかと思いました。

具体的な言葉でストレートな直面化ではなく、抽象的な表現で感じさせていく優しい直面化かと。

異化という概念は「意味の理解を前提としない超意味言語」を理論付けるために提起されたともあり、相手(読み手)の状態によっては、これもいいな、と書き手の私としても思えるわけです。

 

○ 大事なのは「生きていきやすくなること」

 

私が、これらを観て思ったことを綴っていきます。

そもそも、自分自身の自動思考や認知の歪みを自覚しようとすることは、それ自体が辛さを伴うことが少なくありません。

誰も、自分が歪んでいるなんて思いたくないでしょう。

さらに認知行動療法などでは、その要因を直視するプロセスもあったりしますが、当事者によっては要因だからといって、何でも直面すれば良いとは限りません。

例えば、言葉にすら書きたくないことですが、レイプ被害者にレイプされた現場に連れて行くことも、下手したらセカンドレイプとなり得てしまいます。

要因を直面化させることで悪化させてしまうこともあり、それよりも大事なことは何でしょうか?

大事なのは、この心理療法の手法・手順だから…ではありません。

認知行動療法にしても、それが心理療法の全ての手法でもなく一つのジャンルに過ぎず、また心理療法やカウンセリング全体にしても、それが全ての昇華の方法ではないでしょう。

大事なのは、本人が生きていきやすくなること、ただ、この一点だという前提で私は考えたいところです。

それも、心の底から生きていきやすくなること、そこに近づこうとするプロセスを自ら歩み続けられることではないでしょうか。

そう考えると、必ずしも要因を見つめ直さなくても、それでも繰り返すことなく進んでいけるのでしたら、そのほうが新たな消えない傷をつくってしまうことを避けられるかもしれません。

人によっては、それが芸術からの影響のほうが良いこともあるでしょうし、具体的な心理療法による直面化よりも、詩的な表現物からもたらされる気づきや感覚のほうが良いこともあるでしょう。

…などと思ったりもします。まだまだ、うまく言語化できていませんが…。

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