わかり合うということに向けて

○ 書くにあたって

 

「いま、今回の記事タイトルにピクッと反応した自分の中に、その理由となる課題がある」と多少でも感じているところがあるでしょうか?

今日の記事は、前回の記事『分かろうとしてくれるだけで…』の続きのようなものです。

今回はテーマを深めていくために順を追って、ロジカルに書いたところも多くあると思います。

そのため慣れ親しんでいるかどうかによっては、難しいと感じられるところがあるかもしれません。

その場合は…

「新しい明日への地図(パラダイム)に向けて、新しい一歩を踏み出すために読んでみたい」という方だけ観て感じていただけましたら幸いです。

(「パラダイム」とは、時代や環境によって変化する規範となる捉え方や認識・考え方などのことを指します)

パラダイムについて、下記の引用を用いて、もう少し説明を転記します。

誰しも、自分は物事をあるがままに、客観的に見ていると思いがちである。

だが、実際はそうではない。

私たちは、世界をあるがままに見ているのではなく、私たちのあるがままの世界を見ているのであり、自分自身が条件づけされた世界を見ているのである。

何を見たか説明するとき、私たちが説明するのは、煎じ詰めれば自分自身のこと、自分の物の見方、自分のパラダイムなのである。

完訳 7つの習慣 人格主義の回復』より引用
(著)スティーブン・R・コヴィー
出版社 ‏ : ‎ キングベアー出版

 

もし、「人とわかり合いたくない」・「自分だけを分かって欲しい」という方には、今回のような記事は向かないどころか、神経に差し障りがよくないかもしれないとも懸念があります。

ですので、「人と分かり合えるようになるには」のヒントを真摯に探している方だけに、伴に考えていくための一助に…

もし出来たとしたら、それに勝る喜びはありません。

仮にすべての意味が分からなくても「考えるな!感じろ」のように、何かを感じていくことから見いだしていけるということもあると思います。

私自身、何かを書く際に常に分かり易さも意識しますが、そこを優先してしまうあまりに大事なところが削ぎ落とされてしまうということも、同時に意識して使い分けています。

分かり易さはキャッチーに受け止められやすく、腑に落としやすいなど、即効性のある反響が得られやすいという側面があるでしょう。

併せて、分かり易さが一番と神話のようにまでなってしまうと、短絡的・安直のように陥りやすいという側面があると言えます。

その後者の側面で削ぎ落としてはいけないものが多々ある場合、私は重要なことを重要と優先するように心がけたいと感じます。

人は単純なようでいて複雑であったり、複雑なようでいて単純であったり、複数の側面を併せ持っていますが、その両方やその中間も大切ということですね。

では、本題に入ります。

 

○ まず理解に徹し、それから理解される

 

冒頭でパラダイムの引用で触れた『7つの習慣』は全世界で約4000万部、日本国内でも約240万部を売り上げている、ベストセラーを超えたロングセラーとして有名な書籍です。

当初は、ビジネスシーンの研修などで用いられることが多かったビジネス書として始まりました。

その次にファミリー向けなど多様なジャンルへの発展がされており、音声版やマンガ版も出たり、使いやすいワークなども様々用意されていますね。

いずれも人生の成功がテーマとなっており、良好な人間関係・信頼関係を築くための重要な原則を探求しています。

この中にある『第5の習慣』では、「まず理解に徹し、それから理解される」とあり、これは好ましい人間関係の基盤となるコミュニケーションを実践するための習慣です。

相手を真に理解することの大事さと、そのために大切なポイントが強調されています。

『第5の習慣・まず理解に徹し、それから理解される』の実践ポイント

 

1. 相手を理解するコミュニケーションのレベル:

無視する: 聞く努力をしない。
聞く振りをする: 聞いているように見せかけるが、実際は聞いていない。
選択的に聞く: 自分の興味や関心を持っているところだけを聞く。
注意して聞く: 相手の話していることに集中し、自分の経験と比較しながら聞く。
感情移入の傾聴: 相手の言葉、意志、気持ちをすべて聴くために耳と目と心を使う。

2. 相手を真に理解するために必要なこと:

– 相手を理解しようとしない限り、相手の信頼を得たり、良い人間関係を構築したりすることはできない。
– スキルやテクニックだけではなく、相手の人格や人間性を理解しようとすることが重要。
– 人格を土台にしたコミュニケーションを築き、信頼を構築することが大切。

この習慣を実践することで良好な人間関係を築き、相手との信頼を深めることができると世界中で重宝されていますが、上記からインスパイアを得て以下を記します。

 

○ 全ては自分から始まると捉えてみる

 

まず、” 大人同士の関係性 ” で「いくらかでも、分かって欲しい」と願うなら、「自分から分かってあげる」ようにすることから始まりますね。

もし、そうではなくて「自分のことを分かってくれたら、あなたのことも分かってあげる」だとしたら、あまりに一方的かもしれません。

これは一概に、社会的な立場関係だけで言えるのではないとも言えます。

もし一見、下の立場だからと、もし「多くを与えてもらう」ことが当然のようになって、思いやりや感謝なども返していなければアンバランスとなり、「強い立場」として利得を得るよう振っているということにもなってしまいます。

そうして「私は、あなたのことを分かってあげられない」・「分かってあげようとも思っていないけれど、私のことは分かって欲しい」というのも、あまりにも不公平かもしれないですね。

もし、「分かってあげる」ことを「自分には出来ない」として、その理由が「だって、○○○○○だから」のように、いくつも浮かんできたとします。

たしかに、その「○○○○○」と、あなたが感じていることは在ることなのでしょう。

(ここで、「そんなことないよ」と言う励ましのような言葉を言ってしまうとしたら、空虚です)

ですが、出来ない理由を先に立ててしまうことは、「自分に出来ないこと・○○○○○だからしないこと」でありながらも、相手には求めているということになってしまいます。

そこで愛を育てるわけでもなく、終わりの始まりにしていくのなら、それも選択です。

もしくは、恋から愛を育てていくのでしたら、以下の動画も参考になるでしょうか。

以下は『愛するということ』((著)エーリッヒ・フロム 出版社 ‏ : ‎ 紀伊國屋書店)の書評動画ですね。

同書は下記の動画に限らず、愛についての洞察に満ちた名著と言われています。

社会心理学者であるフロムが、実存的不安に直面しながらも、自己を肯定し、愛を技術的に説明した必見の著作です。

 

 

○ 「愛」って育てていくもの

 

愛は育てるものなんだという認識から始めていくとしたら、まず、どのような一歩から始まるのでしょうか。

前回の記事でも「違う旅路を歩んできた人間同士」というようなことは書きましたが、違う旅路のことなど、簡単には分からない。

表面的な浅い部分を除いては、大半が分からないことが前提となっていくとしたら…です。

「だって、○○○○○だから」のように湧き出てくる、いわば、ほぼ反射的に条件反射のように出てきてしまうのが「自動思考」 ” だと知るところから始めるのも良いかもしれないですね。

「自動思考」とは、人それぞれに備わっている思い込みや固定観念、よく言えば合理的な信念かもしれませんし、マイナスに働くものは「非合理な信念」から出てくる偏見かもしれません。

年齢を重ねていくほどに、その反射的スピードは早くなると共に、無意識に近いところで排他的になってしまっているスピードも早くなります。

年齢を重ねていくほどに頑固になるという姿が、身近な人でも見られることが在るかもしれませんが、そういうこととも言えます。

年齢を重ねていくことは、生きている限り、誰だって避けられないことですが、その上でどうしていくかを大事に捉えたいと思います。

 

○ 自分の縄張りの巣から

 

誰だって、心の中で何らかの箱やカゴの中に入っています。

だから今まで生きてこられたのですし、その箱やカゴは安全圏で「コンフォートゾーン」とも呼ばれますね。

動物でいう「縄張り」・「巣」とも言われますが、そこから出ることは不安も緊張も感じる時があります。

ですが、いつまでも縄張りにいるだけではマンネリにもなって来ますし、視野も狭くなり、お腹だって空いて来てしまいます。

つまり、課題や問題、悩みなどが出てきたときは、そのコンフォートゾーンでぬくぬくしているだけではステップアップを得ることが出来ません。

だからこそ 、チャレンジゾーンに移って、自ら得ていくように動き、動きながら考えるということが有用なのではないでしょうか。

なぜならば、縄張りの中で思考しているだけでは、外の状況はちゃんと視えないからです。

 

○ 人間関係での問題は「自分」が呼んでいる

 

聞かれたことがあるかもしれません。

課題や問題・悩みなどが出てきたときは、それは「今の自分だから出てきた」のであり、「今の自分では解決できない」から出てきたのです。

では「出来ない」のかと言えば、そうではなく「今の自分から成長したら、出来るように近づいていく」という伸び代があるという意味です。

つまり、「成長のために与えられた機会」がやって来たということになりますが、それもまた自分自身の選択次第です。

” コンフォートゾーンからチャレンジゾーンに向かうことによって、初めて人は本当の意味で成長する ” と言われています。

ずっと同じような問題の前でくり返し、右往左往するのも、そこは開けた上で、楽しみながら次の課題という宝物(成長チャンス)を探しにいくのも、どちらも自由ですよね。

 

○ 誰もが逃げられないのが「自分自身」から

 

言うまでもないことですが、自分だけは自分自身と24時間365日、伴にいますね。

このことは「自分からは逃げられない」ということになります。

例え、何をごまかそうとも、自分を塞いで、自分に何かのウソを付いていたとしても、そんな自分自身ですら、意識の奥のほうでは感じているわけですよね。

その自分自身の「成長」というのが、ほぼ多くの人に備わった「根源的な欲求」であるという認識から、もう一歩、掘り下げて考えてみます。

根源的な欲求は、無意識レベルからも出て来ます。

その欲求を満たすためのシチュエーションを無自覚に自ら創り出したり、引き寄せることになると言えます。

それが楽しくてウキウキすることでしたら万々歳ですが、その逆のこともありますよね。

その度に何度、その対峙を先延ばしにしたとしても、また時期を変えて、何度も似たような課題や問題、悩みや苦しみなどが発生する場面をつくり出してしまうということになります。

何度、先延ばしにしようとも、またやって来てしまうのならば、いっそのこと、ここで消化して好転させてしまおうというプロセスも良いのではないでしょうか。

そのほうが誤魔化しやウソがなく楽になるのが早くなりますし、「こんなものさ」と虚しさや切なさを感じることも減っていくのではないでしょうか?

 

○ 感謝は成長から

 

消化して成長していくと視野も広がり、感じ方も深まって、感謝も感じやすくなります。
感謝も感じやすくなると、物事がより楽しく感じやすくなって来て好循環ですね。

なお「感謝」という文字を、再度、見つめてみていただけるでしょうか?

「感謝」は「感じたことを射るように言う」と書いていますね。
心に秘めるだけでなく、相手に射るように伝えてこそ感謝ということを表しています。

射るように伝えるとは、しっかりと承認するということでもあります。
ざっくりと褒め言葉で包んだり、ぼんやりと認めるだけでは射ることは出来ません。

 

○ 上手に分かり合えるかどうかが問題ではない

 

私たちに起こる、すべてのことは、私たちの選択の結果ということを、ここでも考えさせていただけるなと思います。

「だって、○○○○○だから」の出来ない理由も、自分にとっては最終的に心地よいコンフォートゾーンに帰巣するためには良いものです。

または、「どのようにしたら、☆☆☆☆☆になるだろうか?」の出来る理由は、もっと美味しく、広い世界で突き抜けた楽しさも用意してくれています。

その「☆☆☆☆☆」のために何らかの学びが必要だとしても、それを材料として加工して使っていくことで、新しい地図が切り開けていくのなら、学びは蜜の味だと私は感じています。

人が望む、それぞれの世界は、それぞれの願望に違いがあるように、例え似ていているところがあっても違うものでしょう。

その中で重なる「共有ゾーン」を見い出して、お互いに愛を持って育てていく人間関係。

価値観の共有ゾーンを表すイラスト画像

 

そのために「わかり合っていこうとすることを続けること」を大切にしていきたいですね。
(たとえ実際には、分からないことの方が多くても)

批判よりも、思いやりを。

責めるよりも、勇気づけを。

文句を言うより、真摯な寄り添いを。

ガミガミ言うより、伴走する支援を。

脅すより、信頼を。

罰するより、貢献を。

褒美で釣るより、友好的な関係を。

ご精読いただき、誠にありがとうございました!

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