日本漫画の世界性とブルーオーシャン

日本漫画が世界的に認められている文化となっていることは、多くの人が知っているだろう。

戦後、手塚治虫氏をはじめ、石ノ森章太郎氏や赤塚不二夫氏、藤子・F・不二雄氏らが住んだ「漫画界の梁山泊」とも呼ばれたトキワ荘出身の漫画家達と、その弟子、彼らを引き上げた編集者達の功績により、日本漫画の裾野が大きく広がり続けた。

ここで編集者達の存在は決して軽視できない。

黒子であるが、徹底して描き方を指示し弛まぬ尽力を持って、売れる著名漫画家を多く輩出してきたのだ。

この背景には日本人特有の繊細さと多様性があってこそ、諸外国の漫画とは一線を画す発展をしたといえる。

浮世絵などイメージ主体の芸術が古よりあったからか、漫画描画自体の繊細さも諸外国の群を抜いており、娯楽性だけでなくストーリー性を重視する点も、大人にも感動を与える作品が多く創りだされている理由といえる。

2000年度の文部科学省「教育白書」で漫画・アニメーションは芸術分野の1つとして位置づけられ、更に2006年11月に「京都国際マンガミュージアム」が国内初の漫画博物館としてオープン。

「明治の雑誌や戦後の貸本などの貴重な歴史資料や現在の人気作品、海外のものまで、約30万点(2008年現在)」(同館WEBサイトwww.kyotomm.jpより引用)が保管されているが、開館初年度の来館者の約15%が外国人と世界の注目度が伺える。

私が感じるに漫画は、仮にアルコールに酔っていても読めてしまえる不思議なもので、確かに子どもでもすんなり受け入れられる。

ゲームやパソコンのように使い方を覚える必要もなく、パラパラとめくるだけで頭に入ってくる。価格も安価で手に入れやすい。

子どもに与える影響が問題視されることもあるが、読んでいて意外と奥が深く、良い意味で人間ドラマを疑似体験させてくれる作品も多いことは1つの大衆清涼剤であり、安易な規制は賛否両論だろう。

きっと、どのような文化にも光と影はありえるのだから。

ビジネスシーンにおいても、販促物の一部に漫画を使うのは直感的にインパクトを与え、目的を瞬時に伝え易くするのに、この手法が浸透しているのは、極一部ではなかろうか。

企業側にとって漫画は軽いと思われているのか、それとも描き手側のビジネスセンスが相対的にみれば少ないのか。

私の経験から見れば、この両方があると思える。

私自身、ある漫画家さんに販促物として打合せし発注したときは、『課長島耕作』(講談社)の著者・弘兼憲史氏ほどならまだしも、多くはそれほどのビジネススキルはないようで、それが描画イメージに反映され、こちらが望んだものとは程遠くなったりした。

結局、残念ながら何度もダメ出しをせねばならず、時間的にも苦しい状況を強いられたが、これはお互いの場数で解消するしかないだろう。

加えて、漫画家やクリエーターが自身を売り込むマーケティングやセールス活動への認識と実践が少ない場合が多く、この点でも潜在クライアント企業との隔たりをつくってしまっているように見受けられ、残念に思えてならない。

このご時世、販促物は費用対効果から見ても、益々の向上が求められており、その中で世界的文化のクオリティを持つ日本漫画の意義は大きい。

競争過多でどこもかしこもレッドオーシャンに見える今日。漫画をビジネスにどう活用するか、まだまだブルーオーシャンではなかろうか。

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